純石鹸は本当に安全で安心、それで万能なのか。

石鹸素地だけで出来た純石鹸と呼ばれるものが、とてもいいと言われるようになってから久しいと思います。
ネットで拾える情報のほとんどは『ビバ!純石鹸』、どんな肌質の人にも純石鹸が良いかのような記事ばかりのような気がします。一方で、石油由来の合成界面活性剤は毒物・危険物の扱いとなっていますが、これって本当なのでしょうか?

よく言われる石油系合成界面活性剤の常識として、
『肌は皮脂膜と角質層によって保護されている』
『石油からできた合成界面活性剤は、皮脂膜を溶かし、角質層をゆるめて、肌のバリア機能を破壊する』
といったことがよく言われますね。

ここでいくつかの誤解が蔓延していることに気づいていますか?

肌が皮脂膜と角質層によって保護されているのは事実です。
が、皮脂膜を溶かし、角質層をゆるめるのが『石油系合成界面活性剤』というのは間違い。
純石鹸でも思い切り、『皮脂膜は溶け、角質層はゆるみ』ます。
むしろ、脱脂力の弱い合成界面活性剤と比べれば、純石鹸の方が強力に皮脂膜を溶かします。
皮脂膜を溶かせば、その下の角質層、その中のセラミドや天然保湿因子は簡単に流れ落ちます。
純石鹸でも、肌のバリア機能は破壊できるのです。

また、合成界面活性剤として有名どころの『ラウレス硫酸ナトリウム』や『ラウリル硫酸』などの成分ですが、石油から作られているとは限りません。
純石鹸と同じヤシ油からも作られます。
むしろ最近では、枯渇資源と言われている石油よりも、栽培・収穫できる植物オイルを使う傾向になっているようです。
そもそも、原料に石油系とか植物系とか天然由来とかいうのは、全く意味がありません。
洗浄力がマイルドなアミノ酸系洗浄剤も石油から作ることが出来るし、全く同じものを植物オイルで作ることもできます。

特定の成分にアレルギーがあるなどという場合であれば、それは避けるべきです。
もちろん石油系であろうが、純石鹸であろうが、アレルギーのリスクはゼロと言えません。
純石鹸でも、肌にとっては絶対に異物です。アレルギーが出ないとは言えません。

ですが、『純石鹸は安全、合成界面活性剤は危険』というイメージが本当に浸透しています。
調べてみても、ネットでは『石鹸神話』ばかりです。
植物性オイルで作った合成界面活性剤があると言っても、
『でも、合成だから危険なんでしょ?』
と言われるような始末です。

では、純石鹸はどうやって作られているのでしょう?
原料油脂に水と苛性ソーダを入れて化学反応を起こし、作られるのが純石鹸。
苛性カリを入れたらカリ石鹸になります。
苛性ソーダなり、苛性カリなりを加えて合成して作られる界面活性剤、それが純石鹸です。

ちなみに苛性ソーダは劇薬で、一滴目に入ったら失明するという恐ろしいものです。
それを使って石鹸を作ります。
石油系が危険…というのであれば、苛性ソーダを原料とする石鹸も危険です。

純石鹸はアルカリ性なので、皮脂を落とし、角質層をゆるくします。
これによって汚れが落ちやすい状況を作ります。
本来弱酸性の肌は、この石鹸によって一時的にアルカリへと傾きます。
健康なお肌でしたら、数分もすればアルカリから弱酸性に戻すことが出来ます。
肌が弱酸性に戻ると、角質層はキュッと閉じます。
これをアルカリ中和能と言います。

ところが、アトピーをはじめとする各種皮膚炎、皮脂欠乏症などで皮膚が弱い人は、このアルカリ中和能が上手く働きません。
皮膚の状態にもよりますが、弱酸性に戻るまでに数時間を要する場合もあります。
その間、角質層は緩んだまま、刺激物質は角質層に入り放題です。
これが、石鹸による肌トラブルの原因になります。

敏感肌や乾燥肌、アトピー肌などの人は、『石鹸を使った後は、弱酸性化粧水で肌を弱酸性に戻してあげる』必要が出てきます。
が、アミノ酸洗浄剤を使えば、そこまで肌が乾燥することもなく、皮脂も必要以上に落とさないわけです。おまけに肌がアルカリに傾くこともありません。
だったら、始めからアミノ酸洗浄剤を使えばよくないですか?

というわけで筆者は、純石鹸をあたかも万能選手のように言うことについて、賛成できません。

もちろん純石鹸が悪いのではありません。
純石鹸にも、他の合成界面活性剤にも、皮膚トラブルのリスクはあると言いたいのです。
巷にあふれる評判をうのみにばかりしてはいけませんね。